
東京学芸大学
動物発生学研究室

研究内容
モルフォゲンの分布制御
胚の局所の細胞から分泌されるモルフォゲンの濃度に従って、細胞が分化する。これによって例えば頭から尾といった軸に沿ったパターニングが行なわれるといわれています。
これで本当にロバストなパターニングは制御できるでしょうか?モルフォゲンの産生量や分泌量にブレや個体差もあるでしょう。タイミングによっては局所に集める必要もありそうです。さてその仕組みは?
代表的な業績
Takayoshi Yamamoto, Yusuke Mii, Hidetosh Saiga, Tatsuo Michiue, Masanori Taira
bioRxiv 2025年4月19日
doi: https://doi.org/10.1101/2025.04.16.649141
Positive feedback regulation of frizzled-7 expression robustly shapes a steep Wnt gradient in Xenopus heart development, together with sFRP1 and heparan sulfate
Takayoshi Yamamoto (corresponding author), Yuta Kambayashi, Yuta Otsuka, Boni A Afouda, Claudiu Giuraniuc, Tatsuo Michiue, Stefan Hoppler
eLife 11 2022年8月9日
Roles of two types of heparan sulfate clusters in Wnt distribution and signaling in Xenopus
Yusuke Mii*, Takayoshi Yamamoto* (*co-first author), Ritsuko Takada, Shuji Mizumoto, Makoto Matsuyama, Shuhei Yamada, Shinji Takada, Masanori Taira
Nature communications 8(1) 1973 2017年12月
物理的な力は発生にどう関わるのか
培養細胞系においては周囲の硬さが細胞分化に影響することがわかっています。しかし実際の発生過程においては物理的な力がどのように関与しているのかはほとんどわかっていません。
我々はカエルの細胞に力を印加あるいは減少させたときに発生がどのように変化するかを調べています。
代表的な業績
Enhancement of neural crest formation by mechanical force in Xenopus development
Toki Kaneshima, Masaki Ogawa, Takayoshi Yamamoto, Yosuke Tsuboyama, Yuki Miyata, Takahiro Kotani, Takaharu Okajima, Tatsuo Michiue
The International journal of developmental biology 68(1) 25-37 2024年
よりよい生物教育とは?
生物学の面白さをもっとうまく伝えることはできないだろうか?授業で行なう実験が失敗してしまったとき、授業目的は達成できているのだろうか?成功率を上げる方法は?教員負担をもっと軽減できないだろうか?
既存の実験手法の改善等を通じて、これらの問題を解決しようとしています。
代表的な業績
生命科学・医学を学ぶ大学生のためのウシガエルとウチダザリガニを教材とした麻酔および解剖方法の開発
原田 一貴, 福田 裕子, 小田 有沙, 近藤 興, 山元 孝佳, 道上 達男
生物教育 65(3) 2024年
東京大学教養学部基礎生命科学実験編集委員会 (共著)
東京大学出版会 2021年4月
「活かす」を意識した看護学校における生化学教育の一例
山元孝佳, 内田唯
教育研究(早稲田速記医療福祉専門学校紀要) (35) 2017年
片桐友二 (担当:分担執筆)
日本評論社 2014年8月
カエル胚の強みを活かして
はたらく場面や役割がわかっていない遺伝子を解析するときには、どんな細胞にもなる受精卵を用いると一気に研究が進むことが多くあります。カエル胚は体外で発生が進行し、多くの卵を得られることから有用性は高く、私たちは主にこれを使って研究しています。
ピロリ菌が感染していると胃がんになりやすいといわれています。しかしピロリ菌がどのようにしてがんを引き起こすのかはほとんどわかっていませんでした。そこでピロリ菌が分泌するCagAタンパク質をカエル胚に打ってみたところ、細胞の方向性が乱れることがわかりました。これをきっかけにピロリ菌によるがん誘発のメカニズムが明らかになりました。
「ただタンパク質を打ってみてほしい」等、共同研究も募集しています。
代表的な業績
The Helicobacter pylori CagA oncoprotein disrupts Wnt/PCP signaling and promotes hyperproliferation of pyloric gland base cells
Atsushi Takahashi-Kanemitsu, Mengxue Lu, Christopher Takaya Knight, Takayoshi Yamamoto, Takuo Hayashi, Yusuke Mii, Takuya Ooki, Ippei Kikuchi, Akira Kikuchi, Nick Barker, Etsuo A Susaki, Masanori Taira, Masanori Hatakeyama
Science Signaling 16(794) eabp9020 2023年7月18日